例えば,
●弁護士に相談・依頼すると費用が高いのではないか。
●弁護士に相談・依頼するほどのことではないのではないか。
●そもそも,弁護士,司法書士,行政書士などの士業や,その他いろいろな相談先がありすぎてどこに聞いたらいいのかよく分からない。
といった話は,たまにお伺いします。では,それぞれの士業等についてご説明いたします。
弁護士は,まさに紛争解決における専門家と言えます。
弁護士法第3条には,「弁護士は,当事者その他関係人の依頼・・・によって,訴訟事件,非訟事件・・・その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」と規定されており,争いの金額の大小等に関係なく,当事者の代理人として活動することができます。
ここでまず第一に,代理人として活動できるということは,当事者ご本人が相手方と直接やりとりをしたり,必要な場合を除き裁判所へ出頭をする必要がなく,弁護士に任せることができる,ということです。もちろん,弁護士と依頼者の方との打ち合わせや,場合によっては当事者の方に法廷へ出頭いただく必要があるときもありますが,このように代理人として活動できるということは,当事者の方の手間を省くとともに,法的知識を有する弁護士が当事者に代わって交渉や訴訟活動を行うため,より戦略的な活動が期待できるということになります。
第二に,弁護士は,争いの金額の大小等に関係なく,他の士業では担当できない事件も含めて,様々な争いごとの法律相談,訴訟等を担当するため,多種多様な事案に関して知識・経験を得ることができると言えます。そもそも,ある事件の戦略を練ったり,あるトラブルに関して法的助言を行う場合には,『もしこの事案が裁判になって判決が出されるとしたら,どこが問題になり,どちらに有利と思われるか。』という観点から考えるべきだと私は考えております。というのも,相手方が,「争っても自分が負ける可能性は少ない」と思っているような事案であれば,相手方にとっては大きく譲歩をしてまで解決する理由がありません。そのような場合には,相手方が,相手方に対して「そもそも本当に自分が有利な事案なのか?」と思わせるよう主張等をする必要があります。一方,こちらが有利と思われる事案であれば,ある程度強気の交渉や主張を行うことができ,同時にこちらの弱点を補う方策を考える必要が出てきます。このように,多種多様な事件を制限なく担当できるという点は,紛争解決における弁護士の専門性を高める最大の強みと言えます。
ただ他方で,弁護士は費用が高額であると一般的には認識されているようです。これが真実かどうかは,それぞれの弁護士や司法書士などによっても金額の設定が異なるため,何とも言い難いところだと思います。また,争いごとは,会社の命運を左右したり,人生で一度きりの経験となったりすることもある重大な事柄ですので,単純に費用の高低で選ぶのはお勧めできません。事前によく検討されることをお勧めいたします。司法書士の先生方は,登記に関する手続について代理をするなどのほか,認定を受けた司法書士については,争いの目的となっている価額が140万円を超えない事件について,当事者の代理人として活動すること等ができます。従いまして,140万円を超えない金額の事件に関しては,司法書士の先生方に依頼されるのを検討してもよいかも知れません。もちろん,140万円を超えない事件でも,弁護士に相談・依頼することはできますので,ご検討いただければと存じます。一方で,争いの目的の価額が140万円を超える事件については,原則として弁護士のみが当事者の代理人となって活動することができますので,そのような事件には,弁護士へご相談ください。
その他の士業若しくは上記のような資格を有しない法人・個人については,報酬を得る目的で代理人として訴訟活動を行ったり,交渉を行ったりすることはできません。
弁護士法72条には「弁護士・・・でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件・・・その他一般の法律事件に関して・・・代理・・・その他の法律事務を取り扱・・・(う)ことができない。ただし,・・・法律に別段の定めがある場合は,この限りではない。」(括弧内は筆者が加筆)と規定されております。そのため,仮に,弁護士や司法書士以外に内容証明郵便の作成を依頼したとしても,その後多くは相手方との交渉や訴訟に至りますので,その交渉や訴訟を担当できない,という場合も出てくることが考えられます。
当事務所では,弁護士は専門職であるとともにサービス業であるとの考えに立ち,分かりやすいご説明や丁寧かつ迅速なご対応を心がけております。また,大阪や福岡において様々な事件を担当させていただいた経験から,ご相談者の皆様に選択肢を幅広くご提示し,より良い解決策をともに選択していければと思っております。